見物人の頭のなか

映画と美術展などの感想。

均質化する世界

フィギュアスケートを見た。こたつに入りながら画面に向かってがんばれーと応援する。

画面には白い衣装を見にまとった女の子。

音楽が始まる。


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美しいステップシーケンス。軽やかな笛の音が響く。草原を駆け抜ける風のような音。希望の春。そうか、春を音楽にするときっとこんな感じなのだろう。


現代はつくづく均質化した世界だなと思う。冬にこたつに入り暖房をつけながらぬくぬくと過ごす。太陽が沈んでも電気をつけて夜更かしをする。雨が降ったときは乾燥機に衣服を入れる。長野にいる選手を東京から応援する。


昔のエライ人はへこみを研究してなくしてくれた。そのおかげで平々凡々太である私も寒さに負けることなく、雨にも負けることなく普通に過ごせている。でも、昔の人ほどには春を迎える喜びを感じられていないのかもしれない。

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演技が終わった。画面に向かって拍手をする。やっぱフィギュアって良いなぁ。

 

コロナの影響によりシーズン初の演技を披露する選手も多かった。コロナが生んだ活動の自粛は選手たちの素晴らしい演技を生んだ。宇野くんは、終始にこにこと楽しそうで、大会が開催されて本当に良かったなと思う。見ているこちらまで楽しくなってくる。

 

メリハリのない世界に強制的に生まれた自粛というへこみ。今はちょっとしんどい時もある。暴れたいなぁと思う時もある。でも春になれば雪は解けるのだ。そしたら、思いっきり叫べばいい。今この時は普段意識しないへこみを味わってやるのだ、なんて考えつつ、明日もフィギュア見よっと。