手紙は憶えている/復讐という名の
主演:クリストファー・プラマー
監督:アトム・エゴヤン
<あらすじ>
認知症を患う90歳のセブは、眠ると記憶を忘れてしまう。そんな彼に、老人ホーム仲間のマックスから手紙を渡された。「君はこの手紙を読むんだ。君のやるべきことはここに書かれている。」と。それはかつてアウシュビッツにいたセブとマックスが立てたという復讐計画が書かれたものだった。そしてセブはその計画を実行すべく老人ホームを抜け出す。
AmazonPrimeビデオ鑑賞。
ミステリ度★★★☆☆
考えさせられる度★★★★☆
<感想 ※以下ネタバレ(というかこれは詳しいあらすじも見ない方がいいです)>
マックスが彼を動かしていたという解釈がきっと妥当だろう。だが、この映画はその仕掛けの部分だけが優れているのではないと思う。
私は、セブが最後に言った「I remenber」に鳥肌が立った。
「セブはヘブライ語で狼という意味なんだ」と彼は言っていた。彼は抑圧した記憶を無意識に捻じ曲げて、ただひたすら手紙に書かれた命令を実行していた。
ひたすら命令を実行していただけだ。使命感と苦悩を持って。
たぶんアウシュビッツの時と同じように。
彼もアウシュビッツの被害者だ。それが「I remenber」というセリフに込められていると思う。マックスが物理的な被害者であると同時に、セブは精神的な被害者であろう。
そんな風に感じた。
この映画の教訓は一つある。
それは、「銃の下では人間はみな平等である」ということ。90歳おじいちゃんでも銃持ってれば簡単に人は殺せるし、爺ちゃんだからって気を許して家に入れちゃダメなんです笑
で、他蛇足。
この映画は原題の方が合ってると思う。
なんでわざわざ訳したのかなぁ。残念。
あとね、これはねもう本の帯とかにも言えることなんだけれど、どんでん返しなんていう煽り文句は付けないでほしいんだよおおおおお。もうっ!そっちの方が売れるのはわかるけどさ!メタ認知が働いちゃって最初から二割減なの。で、結末が当たっちゃった日にはもう私の中は無ですよ。だから本当に書かないでほしい。
以上。題材的には重い話ではあるので、見る日は選んだ方がいいと思います。
ただ、構成も面白いし、様々な解釈ができる映画なので見て損はないです。